さんじゅうご

気になる。

気になるわ。

今まで特に興味は無かったけれど、
今日見て、いろいろ想像してみて気になった。

ちょっと自分には合っていない気がして、
恥ずかしくなったりするけれど、
やっぱり気になる。

外に着ていくのはまだ勇気が無いけれど、
家の中で部屋着としてなら、大丈夫だろう。
暑い夏の日をさらっと過ごせそうだ。

気になる。
買ってみようか。
どうしようか。


インド綿さん、今、私は君のことがとても気になるよ。

さんじゅうよん

今日、パンプスを履いて学校へ行ったら、
左足の小指がなんだか痛かった。

ずっと痛いから、歩くのをやめたくなった。
でも、歩みは止めてはならん！と、強く思い
前へ一歩一歩進んだ。

家に帰って来て、見てみると
小指に豆が出来ていた。

あら、こんにちは。

そして、この豆の名前はなんだっけ？と考えていた。
確か、水豆といったような。

水豆…
そんな名前だとすると、
日本の夏には欠かせない
涼しさ漂う和菓子のようなイメージだ。
それか、煮てない豆の缶詰。

そんな私の考えとイメージを母に話すと、
小指に出来たものは、水豆でなく
水ぶくれだということが分かった。


そうそう、これ、水ぶくれだった。
ど忘れしてたよー。ごめんね、名前間違って。
もう、間違えないからさ。

…水豆は早くあっちに行けよ。

さんじゅうさん

今日は、お昼の１３時頃から
夕方１８時頃まで学校の図書館にいた。

久しぶりに長くここにいる。

すると、後輩や同い年のみんな、講師の方と会った。
短い間にたくさんの人と会って話した。
話が弾んで、とても楽しかった。

いつも家に閉じこもりがちな私。
かと言って、外に出る時もあるけれど、
そんな時はきまって東京とか遠方に行くので、そこで一人きり。

最近少し、みんなの顔を忘れていたような気がする。

そんな中で、今日みんなと会えて良かったと思った。
かなり久しぶりに会った人たちばかりだったから。

髪型変わってたり、服装もみんな夏っぽくなってた。
そしてなにより、大人に見えたよ。

悩みの話や、おめでとうな話、
とってもくだらない話、ためになる話とか、たくさん聞けた。
話の種類はともあれ、もう全部聞けてよかった。
楽しかった。
みんなの顔を見て、元気をもらった。

本当、やる気出ますわ。

そして、今これから、
また元気をもらいに、近場だけれど少し出て行ってきます。
何時に帰ることになるやら。

さんじゅうに

私の家の一階、和室の窓を開けると、
天気の良い日には洗濯物が干してある。

今から３、４日前に洗濯物を取り込んだ時に、
目の前にジャマなものが、
ぷらぷら揺れていることに気がついた。
そして、ふわ～と匂いもする。

それは緑で四角くて、
真ん中に、黄色い液体が入った長細い容器が埋め込まれてある。
その容器には目盛も刻まれていて、
どのくらい液体が入っているのかすぐ判断できるようになっている。
母にその正体を問うと
それを吊っておくと蚊などの虫が寄ってこなくなる、という
虫除けの品だそうだ。あの匂いは液体の匂いだったのだ。

そして、その虫除けは１００日間効果が持続するという。
１００日という長い期間、踏ん張ってくれるなかなか頼もしいやつだ。
それを吊るしておけば洗濯物を出し入れする時に、
部屋に虫が入ることはないし、
洗濯物にも虫がくっつかずに済む、と母も嬉しそう。

それが昨日になって、その虫除けを見てみると
中に入っている黄色い液体が以前に比べ
大幅に減っていた。

これは！と思い、母に液体が減っていることを話した。
私は本当に１００日持続するのか不安になった。
すると母は虫除けを見て、
｢そんなに減っていないじゃない。｣
と言った。
私は、
｢ほら、あの目盛見て。量が減ってるのが分かるよ。｣
と言うと、
｢あれはただの目盛だよ。
　…えっと、１００日だから今からだと９月まで虫除けに使えるね。｣
と母は言った。
量が大幅に減っているのは確かなのに、母は認めなかった。

それにしてもこの減り方はおかしい、と思った。

私は釈然としなかった。
母の言った｢ただの目盛｣ってなんだ。
目盛は何かの量をはかるためについているんじゃないの。
それはあの液体の量をはかるため。
だから、目盛を見たら一発で量が減ってることが分かるよ。
二回目だけど、母の言う｢ただの目盛｣って、なんなの。
何も意味が無いのに、
容器を製造する会社がおまけで目盛を刻んだ、ってか。

１００日間効果が持続するのがこの虫除けのウリ。
その｢１００日間｣という言葉ばかりに
母は気を取られているようだ。
本当は分からないぞ。すぐ、ふにゃっと脱落してしまう虫除けかもしれない。

今日は、その虫除けを吊るしてから５日目くらいだろうか。
本日午後１５時の時点で、
虫除けの液体は全体の３分の１無くなっていた。
５日間で３分の１を消費している。
私の見間違えじゃない。
｢ただの目盛｣はそう示しているのだ。

いくら計算のできない私だって、
虫除けの役に抜擢されたら、
１００日間効果持続を皆さまにお約束している以上
５日間で３分の１を消費しちゃまずい、ってことくらい分かるよ。
｢自由に自分の好きなペースで１００日間保てばいいから。」と
割とラフな感じで条件を設定してくれる上司を持ったとしても、
消費するペース配分には一番気を使うよ。


残りの３分の２で９月まで、か。
お前、それ本気で言ってるのかよ。

さんじゅういち

この頃、お腹が締め付けられるように痛い。
なんでこんな風に痛むのだろう、と考えていた。

その時、私の前に粗いまちゃあきが出てきた。
ＢＧＭはガンダーラだった。
それで私は、そうか、と納得した。

お腹の痛みの原因は
孫悟空の頭にはめられた輪っかだ。
あれが、どんな理由があってか知らないが、
私のお腹にはめられているのだ。
そして、時々締め付けられて、その痛みで私の顔は歪むのだ。
ちなみに、あの輪っかの名前は｢緊箍児（きんこじ）｣と言うそうである。

痛い。
孫悟空も、まちゃあきもあの痛みに耐えるのに大変だっただろう。

そんなことを、母に話すと
｢あんたのお腹に、あの輪っかは小さくて入らないんじゃない。｣
と言われた。確かに入らないと思う。
そういえば、輪っかにはいくつかサイズがあるのかな。
｢このＭサイズってありませんか？｣
と聞くと、たいてい
『すみません。Ｍサイズは人気がありまして、完売しております。
　今は店頭にあるサイズのみになります。』
と店員に断られる場合が多い。
そんなの面倒だから、
最初から安心のＦサイズを製造すれば良いのに。
輪っかだってそうだよ。フリーサイズを生産すれば間違いない。

でも、今思ったら、あの輪っかは伸縮するから、
私のお腹にもはまるんじゃないかな。
伸縮するってことはある意味Ｆサイズだよ。
三蔵法師が、私のお腹に輪っかをはめる時に
元のサイズじゃ絶対入らないから、
すぐに輪っかのサイズを限界まで伸ばしたと思う。
ということで、伸縮自由のあの輪っかが
私のお腹にはまっている可能性は大いにある。

あの一応、一応だけど三蔵法師に提案しておくね。
逆に輪っかを、指にぴったりはまる大きさまで縮ませて、
指輪にしてもいいんじゃないかなって思っているんだけど、どうだろう。
指輪なら、あんまり人目につかないし、
オシャレ感覚で孫悟空っていう仕事もこなせるよね。
でも、そしたら結構指が痛い。

そんなこんなで今の私は、
昔、孫悟空が受けた痛みを頭ではなくお腹で受け止めている。
いつまでこのゴール守りきれるかな。
この痛みをこれから先ずっと受け止めきれるほど、
優秀なキーパーじゃない。鉄の壁なんて呼ばれたことも無い。

しかし、もう気付いてしまったのだ。

現代の孫悟空は自分だ、と。

参ったよ。
期待を裏切れない。

けれど、現代の三蔵法師は一体誰だろ。
私の目の前に一度も現れることなく、
遠隔操作で痛みだけ与えてきやがって。
他の仲間も全然見当たらない。
集合場所、間違ったのかな。
あと、「動きやすい格好で来てください」って
速達でお知らせ来てたけど、ジャージでいいの？
もう、そんなんじゃ、
記念撮影して、何年後かに写真を見ても
一体何の集まりか、何に対しての笑顔か全く思い出せないよ。

一番心配なのはちゃんと辿り着けるかどうかだよ。
まぁ、この時代だから、天竺までのルートはカーナビでなんとかなるか。