さんじゅういち

この頃、お腹が締め付けられるように痛い。
なんでこんな風に痛むのだろう、と考えていた。

その時、私の前に粗いまちゃあきが出てきた。
ＢＧＭはガンダーラだった。
それで私は、そうか、と納得した。

お腹の痛みの原因は
孫悟空の頭にはめられた輪っかだ。
あれが、どんな理由があってか知らないが、
私のお腹にはめられているのだ。
そして、時々締め付けられて、その痛みで私の顔は歪むのだ。
ちなみに、あの輪っかの名前は｢緊箍児（きんこじ）｣と言うそうである。

痛い。
孫悟空も、まちゃあきもあの痛みに耐えるのに大変だっただろう。

そんなことを、母に話すと
｢あんたのお腹に、あの輪っかは小さくて入らないんじゃない。｣
と言われた。確かに入らないと思う。
そういえば、輪っかにはいくつかサイズがあるのかな。
｢このＭサイズってありませんか？｣
と聞くと、たいてい
『すみません。Ｍサイズは人気がありまして、完売しております。
　今は店頭にあるサイズのみになります。』
と店員に断られる場合が多い。
そんなの面倒だから、
最初から安心のＦサイズを製造すれば良いのに。
輪っかだってそうだよ。フリーサイズを生産すれば間違いない。

でも、今思ったら、あの輪っかは伸縮するから、
私のお腹にもはまるんじゃないかな。
伸縮するってことはある意味Ｆサイズだよ。
三蔵法師が、私のお腹に輪っかをはめる時に
元のサイズじゃ絶対入らないから、
すぐに輪っかのサイズを限界まで伸ばしたと思う。
ということで、伸縮自由のあの輪っかが
私のお腹にはまっている可能性は大いにある。

あの一応、一応だけど三蔵法師に提案しておくね。
逆に輪っかを、指にぴったりはまる大きさまで縮ませて、
指輪にしてもいいんじゃないかなって思っているんだけど、どうだろう。
指輪なら、あんまり人目につかないし、
オシャレ感覚で孫悟空っていう仕事もこなせるよね。
でも、そしたら結構指が痛い。

そんなこんなで今の私は、
昔、孫悟空が受けた痛みを頭ではなくお腹で受け止めている。
いつまでこのゴール守りきれるかな。
この痛みをこれから先ずっと受け止めきれるほど、
優秀なキーパーじゃない。鉄の壁なんて呼ばれたことも無い。

しかし、もう気付いてしまったのだ。

現代の孫悟空は自分だ、と。

参ったよ。
期待を裏切れない。

けれど、現代の三蔵法師は一体誰だろ。
私の目の前に一度も現れることなく、
遠隔操作で痛みだけ与えてきやがって。
他の仲間も全然見当たらない。
集合場所、間違ったのかな。
あと、「動きやすい格好で来てください」って
速達でお知らせ来てたけど、ジャージでいいの？
もう、そんなんじゃ、
記念撮影して、何年後かに写真を見ても
一体何の集まりか、何に対しての笑顔か全く思い出せないよ。

一番心配なのはちゃんと辿り着けるかどうかだよ。
まぁ、この時代だから、天竺までのルートはカーナビでなんとかなるか。